「僕と核」2012

    第四部:酸化と免疫

 

< 酸化ストレス >

活性酸素は体内で有害物質を処理するなど免疫としての働きがありますが、がんだけでなく、他の病や老化にも繋がっていることが注目されています。
活性酸素やフリーラジカルについては、生活の範囲で知っておいて損はありません。

健康は「状態」だけではなくバランスを保つ「行為」ですし、栄養や休養はポイントを貯めることも出来ません。
主に酸化から来るストレスの対処法を、「酸化 vs 抗酸化」の秤でイメージしてみました。
 


[pdf version]
 

ストレス・負荷とは肉体的なものだけではなく、精神的ストレスは脳が製造するホルモンによって物理的に大きな影響を及ぼします。
食や睡眠の質が落ちたり、新陳代謝が悪くなると、精神状態との悪循環に陥ってしまい、体にも大きな負担になります。
近年の研究では精神的なストレスは、遺伝子のテロメアを消耗させるそうです。(つまり、老化が早まる)
もちろん、体にはそのテロメアを守る酵素もちゃんとあるので、やはり疲れたら休むと言うバランスが大切なのです。

秤が何を意味するかと言うと、ふだんはバランスを取りながら健康を維持をしていても、
秤が傾いてしまうことによって「回復不可能になる可能性がある」と言うことです。

人は大抵の怪我や病気から回復できますが、簡単に治らない病気にかかるかどうかは、個人や家族にとって大きな境界線であることには違いありません。
それは医学的にも同じことです。

だからと言って、これまで度々行われて来たようにこの構図を使って、加害者が汚染を正当化することは間違っています。
飛行機で受ける宇宙線、医療X線、カリウムやラドンなどの環境放射能、過去の人工放射能、タバコなど、
沢山のリスクが引き合いに出されていますが、これらはすべて加算されるのであって、比べてもしょうがないのです。

体質や運もあるでしょうが、心身共、大事に至らないようにストレスを最小限に抑え、適度の運動をしながら健康管理をすることは、正に基本なのです。

 
[コラム:食と免疫力]

免疫力を高めると同時に、免疫力の邪魔をしないことも大切です。
きちんと抗酸化物質を摂取するなど、「食」の問題は欠かせません。
それでは、ここで森屋巴理奈さんのコラムをお届けします。
免疫力や自然治癒力を高めるにはどうしたら良いでしょう? 免疫力は、病気から自分で自分を守る力、自然治癒力は回復する力で、二つとも生命力を表します。人間が生まれ持っている生きる力です。この生命力を高めれば、健康を維持することが出来るわけですが、手軽な方法の一つが栄養価の高い食事をすることです。なぜ手軽かと言うと、人間は一日に2〜3回の食事で生かされているわけですが、何を食べるかはある程度自分でコントロールできるので、すぐに実行に移せるからです。では、栄養価の高い食事とは一体どんなものでしょう?

栄養素(炭水化物、タンパク質、ミネラル、ビタミン、脂質)をきちんとバランス良く取り入れる事は基本的な考えなのですが、つい私達は、「何が足りていないのか?どの栄養素を補わないとだめなのか?何を食べたらいいのか?」と、「足し算」で考えがちです。しかし、ありとあらゆる食べ物が溢れている時代に生きている私達がまず目を向けるべきことは、その逆の「引き算」なのではないでしょうか?「何をやめようか?」「何を食べないか?」に意識した方が生命力アップにより効果的だと思うのです。

具体的に言いますと、農薬、化学肥料、食品添加物などの化学物質や、加工食品、精製食品などやたらと手を加えられた食品達。こういった自然界に存在しないものをまず省くことを第一に考えた方が良いということ。外食(塩分と油分の過剰摂取)を減らし、砂糖やアルコール類を極力減らす、なども考慮すべきです。

動物から見習えることもあります。私は犬を2匹飼っていますが、彼女達は体に不調があるとエサを食べようとしません。一日中何も食べたがらない日もあります。これは、断食をする事で、回復力がアップすることを本能でわかっているからではないでしょうか。人間も犬も同じ動物です。生命力を最大限に引き出すには、その力を信じ、妨げず、自然の流れに乗ることだと思います。

その為には、自然に沿った食べ方をし、小食で過ごす事が大事だと思うのです。20代の時、月経前緊張症と生理痛が酷く、薬を手放せない時期がありました。どうにか改善する方法はないだろうかと鍼医を訪ねた際に言われた事で、私は目を覚ましました。

「いろいろな治療法に頼る前に、オーガニックの野菜を食べなさい。ホルモン剤や抗生物質の入っていない牛乳、肉類、卵を食べていますか?食べ物に入っているホルモン剤があなたの身体のホルモンバランスを崩しているんですよ。そこから改善していかなければなりません。」

それからはできるだけオーガニックな食材を買い、肉類も良質なものだけを選ぶようにしてみたところ、数ヶ月後には信じられない程調子が良くなったのです。食べたものが身体を作り上げている、と言うことを痛感したのです。現在は、穀物菜食を実践していますが、私の体験から言える事は、昔から日本人が食べてきた伝統食(粗食)が一番素晴らしいということです。玄米を中心とする穀物を主食にし、お味噌汁、四季折々の旬の野菜、豆、海藻を使ったシンプルなおかず、発酵食品、そして昔ながらの製法で熟成された無添加の調味料を日々の食事に取り入れるだけで身体はどんどん生命力でみなぎって行くことでしょう。

動物性食品を頂く場合は、加工品は避け、良質なものを選ぶのはとても大事です。自然に備わった免疫力、自然治癒力を十二分に発揮させるには、不自然なものは極力避け、自然なものを感謝して頂く、という実はとてもシンプルなことだと思っています。

森屋巴理奈(もりやありな)
ハワイ在住。20代の時に食について追究し始め、マクロビオティック/穀物菜食に辿り着く。現在は、ホノルル初のビーガンカフェ(Peace Cafe)でパティシエとして腕を振るう日々。ウェブマガジン「マカナ」ではレシピも連載中。ハワイ島で自給自足を目指す予定。
PeaceCafeHawaii.com
makanamagazine.com/recipe.html


 

人体の免疫にかかる酸化ストレスは、食物、汚染物、精神状態など、さまざまな場所から産まれる。
健康を長期的に守るには、免疫を上げる食生活を心がけるだけでなく、生活サイクルで自ら免疫の邪魔をしないことである。

 


次へ