「僕と核」2012

    第三部:からだのふしぎ

 

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成人は細胞分裂をしながら生きていますが、究極の細胞分裂は、新しい命が出来る時です。
この世に生を授かった皆さんも、奇跡的な細胞の作業によってここまで来れたのです。

もっとも子供をつくるかどうかは個人の話ですが、ヒトは成人になると次の世代に遺伝子を引き継ぐための準備をします。


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体細胞分裂は全く同じ細胞がコピーされていくのに対して「減数分裂」は遺伝子の交配が起きるために、情報がシャッフルされて配偶子は全て違うものが出来ます。
だから、同じ人間の精子と卵子でも、性別や特徴が異なるように自然がデザインしているのです。

46個の染色体を持つ細胞核は、配偶子になる時はそれぞれ23個の遺伝子に半減し、また合わさった時に46となるのです。

ちなみに男性は24時間で5億の精子を生産し、一回の射精で出す数は数百から数千万。精巣で数週間保管された後、放出されなかったものは体に吸収され、常に新鮮に保たれます。
女性は産まれた時に既に200万個の卵母細胞を持ち、成人するまでに4万個に減少した後、人生において400個ほど排卵します。

 

細胞分裂で「情報をコピーする作業が命」であるならば、情報の「忠実さ」を守ることは、命を守ることだとも言えるでしょう。  
 
命や自然を守るためには、破壊し得るものの目につく所を悪いと教えるだけでなく、もっと目に見えない生命の精巧な作りとその素晴らしさを先に伝えることが肝心なのだ、と感じます。
 
 
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