「僕と核」2012

    第三部:からだのふしぎ

 

< 細胞:宇宙の旅 >

遺伝子の変異が体に及ぼす影響を知る前に、肝心の細胞や遺伝子はどのようなつくりなのでしょう。

なぜ、遺伝子を守ることががそんなに大事なのでしょうか?
細胞は生死を繰り返し、多少のダメージくらい平気なのではないでしょうか?
それを理解するためにも、私たちの体が何で出来ているかを見てみましょう。
準備は良いですか?

人間には、体重によって10〜100兆個(100,000,000,000,000)もの細胞で出来ています。
1グラムの組織につき、10億の細胞が入っていると言います。

そして、全細胞の核には、同じ遺伝子の情報が含まれています。
皮膚、髪の毛、骨、筋肉、血液、すべて遺伝子の違う部分が活性化されているだけなのです。

ひとつの細胞核の中には、30億個の塩基対(遺伝データの配列)があり、そのDNAの長さは2メートルに相当します。

 
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ATCGで打ち込まれたプログラミング言語は、配列部分のコードによってコマンドが書かれてあり、タンパク質の製造や新陳代謝が制御される。
ミトコンドリアも37のDNAを持ち、エネルギーを製造する重要な役割を担っている。

染色体は22対ありますが、片方が父親、もう片方が母親から譲り受けてきたものです。 親と先祖には本当に感謝しなければいけません。

7年間で体の細胞がすべて入れ替わると言う説から逆算すれば、毎秒、約30万個の細胞が生まれ変わっています。
(消化器が一番速くて常に再生されている反面、脳の神経細胞や心臓は生涯ほぼ入れ替わらない)

細胞のサイズは10μm 、α線のサイズがその10万分の1で0.1nm、β線のサイズは更にその10万分の1です。
比較すると放射線は極端に小さい物質でも、大きなエネルギーを持っているが故に、衝突のインパクトが強いのです。

 

人体は100兆個の細胞の集まりで、人生において何億回もの細胞分裂、そして遺伝子の複製と修復を行っている。
この過程で修復能力以上の細胞や遺伝子の破壊が起きると、がんや他の疾患に繋がる可能性が高くなる。

 


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