「僕と核」2012

 

はじめに


2011年3月から、一年が経過した。

福島第一原発事故で人類が体験したことのない複数のメルトダウンによる放射性物質の放出、
これから数十年と続くであろう収束作業は、大規模な放射能汚染にどこまで対応できるのか、多くの課題と疑問を産んでいる。

専門家やメディア、市民団体が過去のデータを基に議論をしても、
「どこまでが安全で、どこからか危険か」と言う点で、意見は大きく別れている。
遠い場所と思える出来事でも、日常の食生活を通して、誰もが「風評」と「風化」と言う深刻な問題と戦っている。

「放射能って、どのくらいなら大丈夫?」と言う問いは、実は何十年間も真剣に問われて来たことです。
しかし、最先端の科学を持ってしても、 簡単には説明できないのが現実です。

その代わり、細胞や遺伝子のレベルではどのようなダメージがあるか、また有り得るかは、はっきりしています。
それが人体が受けた線量=シーベルトで表現されることによって、うやむやになっていることが多いのです。
だから「安全」や「大丈夫」にもいろいろな解釈があり、「影響」や「被害」の意味もはっきりさせる必要があります。

この一年で自分が再確認したことで、最も伝えたいことは、

「すべては理にかなっている」

と言うことです。「理」は「ことわり」とも読みますが、その理が何処から来ているのか。
社会的な理か、あるいは何十億年も続いている自然の理か。
放射能に関しては、核が発見されてから100年程度の歴史を越えて、宇宙の法則に基づいて動いている訳です。

ですから、「程度の問題」を議論する前に、「被曝の原理」を知ることが大切です。
そのためには、原子力についてだけではなく、自分の体について、同じくらい学ばなければいけません。

無味無臭の放射能に対して、無知無能のままでは良くないのだ。
どんな土壇場になろうと、時間だけは無限にある。希望と確信を持って現実に正面から挑めば、未来も開けよう。
この50年で日本で起きたことは、これから50年で変えて行けば良い。

本レポートでは「健康」を主なテーマに、色々な情報や予測を当てはめることができるよう、思考の「骨組み」を作ることを目的とします。
また、 出来るだけ分かり易く(中学生でも分かるレベルで)説明することを心がけます。
さまざまな教養を持った人たちが理解するためには、「まとめ」をすることが重要です。

あくまでも自分が参考になったことをまとめているので、読む人によっては、答えよりも疑問の方が増えてしまうかもしれません。
それでも、より多くの人が「知る」ことによって、皆にとって必要な変革が起きる原動力になることを信じています。

それがこれ以上、親しい人たちが嘘の情報に惑わされず、不安にも煽られないように、と願う執念でもあります。

- Shing02

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