|
「僕と核」 |
|
4. 放射性物質ってなに?
放射性の同位体は、安定した状態になる(=放射能が消える)までは、素粒子を捨てたり奪ったりして、放射線を出し続けながら、ほかの物質に変化します。この自然のプロセスを「崩壊=ほうかい」と呼びます。つまり、放射性物質というのは、原子が崩壊しながら放射線を出す物質である、と言えます。崩壊と言っても、ミクロの世界では自爆のようなもので、その瞬間に激しいエネルギーをもった粒子を放出するのです。 放射能の寿命は、「半減期=はんげんき」という言葉で表現されていて、その物質が崩壊によって半分に減るまでの時間を表していますが、たった数秒のものから、何年、何千年、何億年のものもあります。あくまでも半減する時期ですから、その物質が完全に消える(ほかの物質になる)までには、何百倍もの期間がかかります。 <ウランの崩壊と核分裂の違い> ウランは45億年の半減期を持っていて、最後には鉛になって落ち着きますが、その途中経過にある、ウランの「崩壊生成物」の放射性ラジウムとラドンなどが自然界で探知されます。また、地中には10億年以上前に産まれた放射性カリウムが微かに(自然のカリウムの0.012%)残っています。 ウランの核分裂は、崩壊に比べると何百倍もの強いエネルギーを放出しながら、「これまで地球に存在しなかった同位体」を沢山つくります。なぜなら、核分裂は自然に起きることは、ほぼありえないからです。 さん、はい 「崩壊は自然に起きるので制御できないが、生成物が決まっている」のに対して、 それでは、原子力発電や原子爆弾の燃料に使われるウラン235の核分裂と、 |
|
オレンジの元素が、ウランの崩壊の順路です。 生成物はすべてが放射性で、半減期や化学的性質もすべて違います。放射線だけを見れば、人工と自然の放射性物質を分けて考える根拠はありませんが、それらが環境の中でどのように動き回るかというのは、それぞれの元素の特徴によって大きく異なるのです。例として、放射線の測定に使われている代表的な「放射性同位体」の半減期と崩壊による放射線の種類を見てみましょう。 ウラン238 (45億年、アルファ線) それでは、ウランの核分裂を扱っている原子力発電所について、探ってみましょう。 |