「僕と核」
    (2006)

3. 放射能ってなに?


放射能ってなに?と聞かれて、ぱっと答えれる人は案外少ないと思います。
放射能とは、正しく言えば放射線を出す力のことです。

放射線にもいろいろな種類があるのですが、基本的には高い「エネルギー」の総称です。エネルギーという言葉は、日本語で言えば「力」ですが、放射能を理解するための重要な手がかりになります。

まず、特定の「電磁波」が放射線と呼ばれています。
電磁波とは、質量のないエネルギー波で、必ず何かから発信されています。電磁波の強さは周波数の高さと比例して、強い順に宇宙線、ガンマ線、X線と、紫外線より強い域が「放射線」と指定されています。これらは名前が違うだけで、人間の眼で見える周波数も、ラジオや携帯電話で使われている周波数も、すべてまったく同じ性質の電磁波です。電磁波は「光」と同じなので、光の粒子である「光子」の集まりとも表現できます。

<環境にある放射能>

この中でも宇宙線は、環境放射線、あるいは自然放射線に属します。残念ながら、宇宙船とは違います。冒頭で述べたように、宇宙にはその起源からずっと続いている爆発などの激しいエネルギー源が存在するので、さまざまなレベルの電磁波が地球にも届きます。宇宙線の強いエネルギーは、大気中の水素や炭素を「放射性物質」に変えてしまいます。大気は多くの宇宙線を反射するため、強い電磁波から地球を守っていますが、放射性の素粒子が地上に降ってきます。標高によって受ける量も変わりますが、よほどの強い宇宙線を浴びれば人体にも影響があることは楽に予想できます。どのような影響であるかは、のちほど説明します。

<放射性物質>

宇宙から来る放射線と対照的に、地中にある放射性物質の原子核は、電磁波の他にも粒子状の放射線を放出することがあります。以下がその種類と内容で、( )の中は、それぞれが空気中で飛行するおよその距離です。

1. アルファ線 = 陽子2コ+中性子2コの核 (数センチ)
2. ベータ線 = 電子 / 陽電子 (1メートル)
3. ガンマ線 = 電磁波 / 光子(長距離)
4. 中性子線 = 中性子(長距離)* 核分裂、核融合のときのみ

放射性物質によって、出す放射線の量も、内容も、強さもまったく異なります。
どういうものであるか、詳しく見てみましょう。

次へ