歪曲新来

私の呪いと鎧をすべて除いてくれる
あなたのお膝元に額を休めて眠りたい
あなたのタとテの間に入りたい

あなたの全部  知りたく
いつか触れたいあなたの臀部
山の麓の水よりも清く勢い良く流れる記憶
襟と袂に 風を携え 遮る道のりさえ 睦ぶ
愛おしい あなたの仕草
狂おしい あなたの乳房 と目が合った
ところで覚めた うつ伏せになったまま微睡んだ

良い詩だね の一言を 空に浮かべる真昼の転寝
朧げな 雲の淵に面影 を重ね 指で なぞる仮染めの夢
夜霧に漕ぐ船 唯一の慰め 遠いあなたの胸
慈しむため の言の葉も まだままならぬ
貯める想い 窓が白むと共にいつ 消えても尚 懐かしむ

おお 全世界の悪を帳消しにするあなたの笑顔
薄化粧で仄光る富士の頂 にも劣らぬ優雅な景色
凛とした眉 品を描いた瞼と睫毛
つぶらな瞳の渦の虜の支え
不治の病の松葉杖
日本刀のような鼻の峰 杏を割ったような唇
垣間見える滑らかな乳白 餅米のような耳と朶
露の如く 潤う髪の毛 まるで 真っ直ぐに垂れる 墨の五月雨
乱れても 心奪う嵐 銀河の木枯らし 琴線を震わす飛沫
たゆたう息吹 たなびく七色の帯
踊る火の鳥 漂う私の魂

戯れた実 穂は撓わ
触られて 弾む柔
顕微鏡で見たいあなたの肌 彩の変化 万華鏡のよう
太陽の下 黒く染まる
深雪の中 白く透ける
暗がりの中 青く映える
蝋燭の灯で赤く火照る
足首からふくらはぎ ひざこぞうの裏から更に上に
背中からうなじまでの窪み
夕暮れと同じ色のつぼみ
桃色にすべて口づけ
深紅に染まれば息継ぎ
粒が滴る 初心な毛並に
幕に隠れる 無垢な割れ目
報われぬ願いの最果て せめて時を忘れ賜う今だけ
果てしない世界の中心で 我を忘れ賜うここだけ

私の呪いと鎧をすべて除いてくれる
あなたのお膝元に額を休めて眠りたい
あなたのタとテの間に入りたい

見事な菊と薔薇が咲くその 茂みの奥の謎の花園
濡れた枝葉に 熟れた果実
蜜蜂達も酔う 甘い汁
ゆっくり開けた細道の続き 岬に向かって生えるススキ
満ちた月 が見下ろす三角州 隠すことなく辺りを照らす
寄せる波に腰を浸る 星屑が散る砂浜と海原
潜って見付けた一つの真珠
神秘に包まれた真実
広い床に横たわる珊瑚 底にある子の宮を散歩
幽かな笛の音 古の道標 天の川の調べ
聴きながら 確と眺めた 一等星よりも眩しい姿
つま先まで生を感じた オットセイのように高く鳴いた

遥 彼方から 来る香
縁の居る土地 振り返ると歩
操と雅が住む街 立ち止まる泉
緑と安らぐ日和 明が消えれば一人
静に捧げる祈 ありがとう恵と実

私の呪いと鎧をすべて除いてくれる
あなたのお膝元に額を休めて眠りたい
あなたのタとテの間に入りたい

私の呪いと鎧をすべて除いてくれる
あなたのお膝元に額を休めて眠りたい
あなたのタとテの間に戻りたい