誰も知らない

誰も知らない、知られちゃいけない、 シンゴ02が誰なのか

街の中、魚眼並みに目線を乱射し 地面と空を感謝しながら泳ぐ
今日も 三ツ目に絆創膏を貼り重い荷物を動かす倉庫番
この伴奏に乗り、目を閉じた祈りも明かりの残像に疲れ切ったやつれた自分の顔を見る
目の前に浮かぶ蜃気楼の中の目的地、42.195キロ
行き先は岐路に立たされてから決めるつもり
でも台本があるかのように歩かされる道
曇りのち雨の予報 部屋に閉じこもっては途方に暮れる
自分に触れる
何年か振りに泣きじゃくり殴り書き
中を覗けない鉛に包まれた心臓を削る 胸への彫刻刀
ジャン・コクトーよりも多彩な媒体に記す
抽象企業の少年実業家の正体が歩む日々の心理は誰も知らない
精神を満たす飯にありつけるまで
釜茹での刑か磔になるまで
ただ足を棒にして歩み続けるまで
この世から居なくなるかこの世が無くなるか
どちらかが先に車で迎えに来るまで

藪の中に消えた話の筋 でも1年後の同じ日に別の惑星で夢の続きを見る
危ないくらい深い眠りは現実よりも更に複雑な
平行四辺形が歪みいずれは一本の直線と成るみたく
人の交わりとは背中合わせの対角線上の面接
変哲のない生活の安定を求める事が情緒の不安定を呼び起こす
眠れる意志を必死に揺り起こす
糞!時間を無駄にする醜態
うだつの上がらない状態から幽体離脱がしたい
現在の知識と過去の経験の最大公約数を未来にぶつける循環が
累乗の結果を産み続ける公式を自己発見
まだ、誰も知らない
良き知らせを伝えようと頑なに閉じた玄関をたたいても居留守を使う
冷たいウィルスと闘う夜光性物質を投入
暗がりを目で照らす
五次元鍾乳洞の闇探検家シンゴ02の名前を口にするだけで
想像に過ぎなかった生活の隙間に入り込む言葉
一心不乱に腰を振る快感に匹敵する一滴の閃き
誰も知らない