Aquatrium

午前五時、道路に青い影
喧噪の反対、印を探す
タイヤの跡も見えず、信号機も怠け気味
長い夜の帰り道
新聞配達の音が微かに
街の反対側まで声が届きそう
時計を見ると秒針が固まっている
量子の運で動き出す
瞼の裏に助けられて
靴底がコンクリートから剥がれる
ブラックブックの未完の誌はフック付き
空中階段
中二階を通り過ぎ、幾つかの層と目線が重なる
階を上がって行けば空き部屋の張り紙
岬を回り込むように、岬の先、岬の先

上昇気流が運んでくれる
奇妙な出来事
風船の心理
海峡を飛び越えて
船を泊める桟橋は窓辺でに灯る
光が巨大な壁画を描き
彫刻刀が色々なグレーを出す
日時計が公園の上にそびえる
光が闇の残りを食べ尽くす

ダイオードがゆっくりと消える
材料の特性が試される
下地塗りのないキャンバス、ケーブルの五線紙
早起きした小鳥が三連符で歌う
ビルボードにシルエット
枠にタグを残して、痕跡無く消える
足元では、葉っぱが海藻のように揺れて
電車はウナギの寝床で眠る
ミニチュアのモデル、人生のゴール
飛んでいるのか、いや泳いでるみたいな
メトロポリタン水族館
平衡感覚を手放す
百万ボルトの燐光
振動する反射

ビット毎に解像度を上げる
少しずつ、視界が良好に
降りて来て、ゴムがアスファルトにキスする
不自然な静けさ、涙目のあくび
砂時計を壊す夜明けの波、夜明けの波、夜明けの波

泳いでるみたいな
メトロポリタン水族館
平衡感覚を手放す
百万ボルトの燐光
振動する反射