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John Legend Speech

 

シンガーのJohn Legendが母校の大学の卒業生に送った「愛に満ちた」スピーチがとても良かったので、和訳してみました。長いけれど、最後まで読んでみてください。


スピーチの様子:http://youtu.be/nnkuxsulOC4

 


ありがとう、ありがとうございます。おはようございます。そしておめでとうございます!

さて、今朝は話を短めにするように心がけます。ミュージシャン生活の仕事より10時間くらい早いので、終わったら昼寝でもしますが。皆さんも早く卒業証書を受け取りたいでしょう。

それに、きっと何人かは既に僕に飽き飽きしているでしょう。と言うのも、アメリカのポップ・ラジオは「人々は、いかなる時も同じ10曲しか好きになれない」と科学的に決めたものだから、同じ曲をリピートします、皆が疲れてしまうまで。そしてその繰り返し、、、

僕はメジャーレーベルのソロアーティストとして、10年のキャリアがありますが、さきほどの10曲に含まれることはありませんでした。今日までは。

「And now, and now… 皆、僕に飽きて、ペン*を出たことも聞き飽きたし、なんでまたコイツを連れて来たんだ?♪」[註:ヒット曲「All of Me」の替え歌を歌う。* ペンシルバニア大学の通称]

はは、、、今のは自分の全米一位のヒット曲を謙虚に自慢してみました。(拍手)

まあ、冗談抜きで、この地球で有数の大学である、ペンシルバニア大学の卒業式の祝辞を述べることに僕は本当に恐縮し、光栄に思い、感謝してます。僕がこの大学のキャンパスに初めて来たのは、19年前の1995年、高校四年生のジョン・スティーブンズとして、でした。その時は、ジョン・レジェンドとしてこのように皆さんの前で話す日が来るとは、夢にも思っていませんでした。

僕がここにいる理由、これまで素晴らしい道程を歩むことが出来た理由、それは愛を見つけたからです。そう、愛。私たちは全員、愛するように作られています。そして僕が気付いたのは、私たちの人生が最も豊かな時、最も成功している時、それはただ誰かより頭が良いからとか、人よりハッスルしてるからではありません。誰よりも早く億万長者になれるからでもない。成功の鍵、幸せの鍵とは、頭と心を、愛のために開くことです。あなたが好きな人と時間を過ごし、好きな事をすること。

自分の人生はもっと違っていたかもしれません。僕は恵まれた少年時代を送りました。オハイオ州スプリングフィールド市の小さなブルーカラー(労働階級)の街で育ち、家族に囲まれ、両親は子供達を愛し、教育に熱心で小学生の何年かはホームスクール(在宅教育)を受けました。そして親は勉強だけじゃなくて、人格について、良い人生を送る方法について、教えてくれました。

父親は成功についてよく話してくれました。彼は、成功はお金や物で計るものではなく、愛、喜び、触れ合い、助け合いだと教えてくれました。そして両親はいつも行動で示していました。彼らは教会に献身的で、里親にもなり、ホームレスを助けました、家にそれほど余裕が無くてもです。

スティーブンズ家で育てば、アートと音楽浸けになり、クリエイティブになるように応援されました。家の中にピアノとドラムキットがありました。僕は四才でピアノレッスンをおねだりしました。七才の時には教会の聖歌隊と、学校の劇団で歌っていました。子供の頃に、音楽と恋に落ちたのです。

僕の家族は教会とコミュニティにとって、お手本のような存在でした。両親はリーダーで、知性と才能に溢れる子供を、愛に満ちた環境で育てていたのですから。「スティーブンズ・ファイブ」と言うグループも作ったくらいです。

でも、10才の時に状況が急変しました。母方の祖母が58才の若さで亡くなり、家族は大きなショックを受けました。祖母は教会のオルガン奏者で、いつも日曜の教会の後はお家に呼んでくれました。チキン、コラード、そしてコーンブレッドを作ってくれました。そしてゴスペルピアノの弾き方を教えてくれました。世界中で最も好きな人の一人でした。

祖母と母はとても近かったので、祖母の死後、母は重度の鬱病を患い、それがきっかけで家族もバラバラになってしまいました。僕の世界は粉々になりました。両親は離婚をしました。母は十年以上、ドラッグと悲しみから抜けられませんでした。そして僕も混乱し、自分を見失っていました。

家族が離れ離れになってしまったショックから立ち直ると、僕は外向きにはあまり感情を見せませんでした。僕はストイックに、影響を見せないようにして耐えていました。僕はこれ以上の痛みと脆さを無視すれば、辛いこともないだろうと思いました。もう人を愛さなければ、また誰かに裏切られるようなこともないだろう、と。

僕は学校や色々な活動で忙しくして、家族についてあまり考えないように、出来る限り痛みを避けて通りました。僕が東海岸の大学のみに願書を出したのも、日々の生活で実家のことを思い出したくなかったからです。

僕がためらいなく、心から愛することを許せたのは、音楽でした。すべての情熱を注ぎました。寝る暇を惜しんで、自由な時間は全て注ぎ込みました。夜はコミュニティとショーの合唱団、高校ではミュージカル、大学に行ってもアカペラと教会の聖歌隊。作曲もしました。タレントショーで演奏しました。より良いアーティスト、作詞家、演奏家になるために沢山のエネルギーを費やしました。そして、それは自分がより良い学生とリーダーになるきっかけにもなったのです。なぜなら、何か大切に思うことがあれば、あなたはリーダーになりたい、と思う筈だからです。無関心は、もうクールじゃないですよね。

ペンから卒業したら、今のあなた達と同じような選択肢が多くある中、ボストン・コンサルティング・グループに就職しました。それでも音楽への情熱は消えませんでした。ペンの卒業生らしい道を歩んでも、恋には落ちませんでした。そこですぐに仕事を辞めて、ミュージシャンに専念したいと思うようになったのです。日中は何時間もパワーポイントのプレゼン資料と財政モデルを作成し、夜は同じくらい作曲と、ニューヨークとフィラデルフィアで演奏に没頭してました。

その頃の僕は、常にもうちょっとでブレイクすると思ってました。じっさい、まだペンの学生だった1998年から2004年の頭までの六年間、「あと数ヶ月後にはメジャーと契約できる」と思って過ごしてしました。あとちょっとで成功が待っている、と。でも僕はすべてのメジャーレーベルからは断られました。いくつかのレーベルからは数回断られました。この業界の著名人、クライブ・デイビス、L.A.リード、ジミー・アイオヴィーン、、、全員に断られました。

それでもシカゴ出身のカニエ・ウェストと言う若いプロデューサーは、僕の才能を信じてくれました。カニエは、ペンでクラスメートとルームメートだった親友のデヴォン・ハリスの従兄弟でした。デヴォンから2001年に紹介されてから、カニエとはずっと仕事を続けています。僕たちのコラボレーションは、僕のキャリアにとって大きな影響を及ぼしたし、2004年にメジャー契約を結ぶきっかけにもなったとも言えるでしょう。

さて、僕とカニエの性格はかなり違うと思っているでしょうが、僕たちは音楽とアートに対しての真剣な想いで結ばれています。僕たちは創造することを愛し、その過程において、何が売れるか、何が売れているかと悩むようなことはありません。僕たちは何か美しいもの、特別なもの、誇りに思えるものを作りたい一心で、好きだからやっているんです。自分たちの全てを捧げています。

そして、愛と言うものは、そのくらい献身的になる必要があるのです。中途半端は正解ではありません。全てを捧げなければいけません。そう、恋人や周りとの関係も一緒です。

20代でエゴの塊になっている気持ちは良く分かります。自分勝手で、希望や欲望のことしか頭に無かったことも覚えています。自分のハートを痛みや失望から守りたくなる気持ちも分かります。激しい競争に揉まれて、勝ちたい価値観も分かります。

それでも何十年か経って人生を振り返った時に、あなたの人生と幸せは、人間関係の数より、質によって決まる可能性の方が高いと思います。広さよりも深さを知る喜びの方がずっと大きいのです。周りの人間と出来る限り濃い関係を築くことが大切です。友情と家族愛に溢れた人生を送ること。あなたが大切な人を支えてあげると同時に、彼らにも支えられていることを知ること。

分かっています、愛に身を捧げることは簡単ではありません。僕は35才で、結婚していても、まだ学んでいる最中です。それでも、その人のためなら努力を惜しまず、リスクを冒したくなるような相手を見つけました。それが世界を変えてくれたのです。

ここまで、仕事や人生において愛の力について語ってきましたが、どのように愛が世界を変えることが出来るか、お話したいと思います。この世界には70億人もの人がいます。70億人の他人です。彼らを愛せるかどうか、あなた達にも考えて欲しいのです。知らない人を愛するとは何を意味するのか、一人一人の命に価値を見出すとは?

考えてみてください。けっこう革新的な概念です。あなたの娘や息子は、隣の家の子供、何千キロも離れた家族の子供と同じように「命、自由、幸福を求める権利」があると言う意味です。恐れを捨てて、お互いの人間性を分かり合うのです。それは、トレイヴォン・マーティンを歩くステレオタイプ、武装人間として見なくなることです。いくつかの過ちを犯そうと、まだ大人になる段階の少年として見守るのです。それは、アメリカ人の命がイラク人の命よりも尊いと言う考えを認めないことです。それは、パレスチナ人の子供を「国家安全を脅かし、領土紛争を象徴する存在」としてではなく、未来の父親、母親、恋人として認めることです。それは、ナイジェリアの300人近い誘拐された女子が、彼らだけの問題ではないと言うことです。彼女らは「私たちの」娘でもあるのです。このように人類を愛することは、自分にとっても難しいことだし、あなたにとっても難しいことでしょう。

コーネル・ウェスト教授は、このような人類愛は社会ではどのような形になるのか、言葉をくれました。それは「正義」です。

もしあなたが愛を共有することに本気であれば、それはあなたが正義を信じ、起きている迫害に目を向けて、他人の身になって世界を見ることが要求されます。これは受け身では出来ないことです。本を読んでください。他の街、他の国に足を運ばなければいけません。手を汚すような仕事が待っているかもしれません。人があなたを愛することを許し、あなたも同じように愛する必要があるのです。

ある時、僕は仲間と訪れたガーナのある貧しい村で、ローズと言う少女に出会いました。援助組織を通して働いている時は、一人と深く関わることは奨励されていないことは分かっていましたが、それでもローズには愛を感じてしまいました。彼女の目の輝きと折れない精神が、自分たちに何か出来ることはないだろうか、と思わせたのです。その結果、彼女が中学校に行ける学費を出してあげることになりました。

ローズとは七年間連絡を続けていて、彼女がこれまで達成して来たことは本当に誇りに思っています。それと同時に、彼女に感化されて、アフリカ中に同じような少女達、男の子と同じ投資をして貰えない女の子たちを、中学校に送ってあげる制度を作ることが出来て、嬉しく思っています。

世界中を旅して、アフリカから東南アジア、サウス・セントラルからハーレムまで、大きな夢を抱いた子供たちの目を見て来ました。彼らに理解を示し、教育を受けさせてあげることが大事なのです。

もし私たちの学校が、愛を共有していたらどのように変わるでしょうか?生徒を全員大事にしていたら、まず誰一人お腹が空いていることがないようにするでしょう。全員がきちんと保健とカウンセリングが受けられるようにするでしょう。全ての教室には素晴らしい先生がいるようにするでしょう。小さな素行の問題で不公平に罰を下し、生徒を犯罪者扱いしないように注意するでしょう。全ての生徒に必要な材料を与えてあげるように確かめるでしょう。

どの宗教にも、慈善と博愛がその核にあるでしょう。でもそれは、自分が天国に入るための行いであってはいけません。このペンに在籍するマーティン・セリグマンが書いた幸せについての本を見てみると良いでしょう。あるいは、アダム・グラントの、彼はペンで一番評価の高い教授だと聞いてますが、彼のデータは「人に与えることで結果が出る」ことを示しています。近年でも様々なリサーチによって、慈愛に満ちた人生を送ることが、真の成功と幸せに繋がると明らかになっているのです。

では、何があなたをそうさせないでしょうか?何が妨げになるのでしょうか?何があなたを成功から遠ざけ、愛に身を捧げることを防ぐのでしょうか?

私たちは、愛の対義語は憎しみ、と若い時に教わります。しかし、それは間違っています。憎しみは副産物であり、結果に過ぎません。悪口ばかり言う人はクールじゃないし、誰もそんな人になりたくはありません。憎しみを産むのは一つだけ、恐れです。そして恐こそが、愛の逆なのです。偏見について語る時、ホモフォビア(同性愛者に対する恐怖)、ゼノフォビア(外国人に対する恐怖)などの言葉が出て来るのは偶然ではありません。恐れは私たちの視野を狭めます。恐れは蝕みます。恐れはためらいを呼びます。恐れは囁きます、「失敗するぞ」と。恐れは「私たちの違いは乗り越えることが出来ない」と言います。恐れは私たちを閉じ込めます。喧嘩のきっかけになり、戦争を起こします。

そして恐れは、私たちが愛することを妨げます。私たちは愛するように作られているのに、愛することを恐れています。深く傷つくことを恐れている。僕が両親が離婚した時に感じた時のような痛みを恐れています。それでも、そのような恐れを忘れなければ、何かを、誰かを本当に愛することは一生出来ないでしょう。ためらわないでください。愛に生きると言うことは、自由に、オープンに与え、そしてリスクを負う準備があると言うことです。痛みや失望を顧みず、恐れを克服し、生まれ変わるのです。

アリス・ウォーカーが言ったように、「私は想うほど、愛するのです。」愛はあなたに目を開き、求め、探し、想うことを、呼びかけます。

愛は全てを包みます。愛は体中に入り込み、至福を与えてくれて、喜びと真の友情を感じさせてくれます。その代わり、うまく行かなかったらより落ち込むかもしれない。より大きな衝撃を受けるかもしれない。それでもあなたが人生において、愛において高い場所へ到達したければ、落ちる危険を乗り越えなければいけません。全てを捧げなければいけないのです。

そうです、今日のスピーチは、明らかに自分の歌詞を盛り込んでしまいました。ちょっと大袈裟過ぎると感じる人もいるでしょう。「Love in the Future」と言うアルバムを出したR&Bのシンガーが結婚したばかりで、今年一番ヒットしたラブソングを書いておいて、今日は何について語ったかって?愛。かなりクサいでしょう。もっと冷静で無関心を装ったらクールに決まってるでしょう?好きなアーティスト、コメディアン、作家だったら嫌味や皮肉の方がウケるでしょうね。それも分かります。

それでも冷めた距離感にも限界があります。情熱はそれを超えて行きます。情熱はあなたをより良い実業家、リーダー、博愛家、友人、恋人にしてくれるでしょう。

僕は皆さんに最高の人生を送って欲しいと思っています。あなたは世界を変えるような人になれるのです。今日ここを発って、色々なことを探し求めるでしょう。生活の安定、お金、友情、セックス、色々です。それでも一番大切なものは、愛です。

だから自分を愛し、仕事を愛し、周りの人間を愛して下さい。自分と違う人間を愛することに挑戦してみて下さい、その人がどこの出身だろうが、どんな見た目だろうが、どんな人を愛していようが。愛の人生を求め、集中力と情熱、野望と勇気を持って。全てを捧げて下さい、それが真の成功への道になるのです。

2014年度の卒業生におめでとう、そしてありがとう!

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